【資産計上】不動産を購入した場合の仲介手数料について

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不動産を購入した場合の仲介手数料について

不動産を購入する際は、通常は不動産屋さんに仲介をお願いすると思います。

購入した不動産の仲介手数料として、次の金額を支払います。

  • 売買代金が200万円以下
    売買代金×5%
  • 売買代金が200万円超 400万円以下
    売買代金×4%+2万円
  • 売買代金が400万円超
    売買代金×3%+6万円

不動産の売買代金は、高いものであれば数千万円から数億円にのぼることもあるので、仲介手数料の金額も非常に高額になります。

ではこの仲介手数料ですが、名前はいかにも経費のように感じます。

しかし、残念ながら、取扱いは資産計上(取得価額に算入)となります。

仲介手数料を経費算入の余地はないのか

不動産の購入時は、資産計上が決まっておりますので、経費算入の余地はありません法人税法施行令54条1項・所得税法施行令126条1項

かろうじて経費算入できるのが、「建物」部分の仲介手数料についてです。
建物の取得価額に含めて耐用年数に応じた「減価償却」ができますので、経費に算入(損金算入)することができます。

資産計上(取得価額に算入)の根拠である法人税法施行令54条1項は、次のようになっています。(所得税法施行令126条1項は省略します。)


減価償却資産の第48条から第50条まで(減価償却資産の償却の方法)に規定する取得価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
 一 購入した減価償却資産  次に掲げる金額の合計額
  イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法第2条第1項第4号の2(定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入  のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額

  ロ 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
以下、省略。

このように、法人税法施行令54条1項では「減価償却資産」について定められています。

では「減価償却資産」である「土地」については、仲介手数料(購入手数料)を経費にしても大丈夫なのか、という疑問も生じると思います。

結論からいえば、土地の仲介手数料についても、建物と同じように資産計上することになります。

たしかに、非減価償却資産については、法人税法施行令54条のような明文規定は存在しません

しかし、非減価償却資産についても法人税法施行令54条を類推適用することが、法人税法22条3項(損金の額)同4項(計算基準)の趣旨にも合致するため、現状での正しい税務判断となります。

いつ土地の仲介手数料は経費になるのか

建物の仲介手数料については、資産計上(取得価額に算入)し、減価償却にて経費化します。

では、土地の仲介手数料については、ずっと経費に計上することはできないのでしょうか?

結論としては、土地を所有している間資産に計上したままとなりますが、

売却した際には、譲渡原価を構成するため、資産計上額がまるごと経費になります


今回は、不動産を購入する際の仲介手数料について書きました。

他にも論点として仲介手数料の「消費税の取り扱い」も書きたかったのですが、長くなりすぎるので、また機会があれば記事にしたいと思います。

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