【基礎編】社会福祉法人の財務諸表について

一般的な株式会社・有限会社や持分会社とは「財務諸表の名称」も異なります。

財務諸表の名称や簡単なチェックポイント・決算時のチェック項目などを記事にしたいと思います。

目次

一般的な財務諸表について

財務諸表とは、いわゆる決算書・決算書類のことをいいます。

具体例には、次のような書類をいいます。

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書
  • 附属明細表
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表 など

これらのうち、特に重要とされるのものが「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」の3つであり、
財務三表」と呼ばれています。

それぞれ、略称がP/L・B/S・C/Fとなります。

製造業であれば、「製造原価報告書:C/R」が追加されます。

社会福祉法人の財務三表について

社会福祉法人でいう財務三表は、「貸借対照表」「事業活動計算書」「資金収支計算書」の3つとなります。

それぞれ、一般的な財務諸表に照らし合わせると次のようになります。

  • 貸借対照表   = 貸借対照表
  • 事業活動計算書 ≒ 損益計算書
  • 資金収支計算書 ≒ キャッシュフロー計算書

事業活動計算書の簡単なチェックポイント

勘定科目は省略しています。

「サービス活動増減差額」という項目で、主たる事業の利益が出ているかを確認します。

「経常増減差額」という項目で、主たる事業+サブの事業で利益が出ているかを確認します。
少なくともこの項目で利益を出しておきたいところです。

そして、「当期活動増減差額」(=当期純利益)という項目を見て、最終的な利益が出ているか否かを確認します。

資金収支計算書の簡単なチェックポイント

勘定科目は省略しています。

「当期末支払資金残高」という項目を見て、資金繰りを確認します。

社会福祉事業として、主たる事業の種類にもよりますが、資金残高が「事業活動支出の1.5ヶ月分~3ヶ月分」あれば、健全な経営ができているといえます。

区分を設けて財務諸表を作成する

貸借対照表」「事業活動計算書」「資金収支計算書」の3つは、法人単位>事業区分>拠点区分>サービス区分に分けて作成することになります。

なお、一定の場合には、省略が可能な計算書類もあります。

参考程度に、こちらが社会福祉法人会計基準となります。

決算の際の整合性のチェックについて

「貸借対照表」「事業活動計算書」「資金収支計算書」に「財産目録」を加えた4つの計算書類を使い、次の項目の金額が一致しているか確認します。

資金収支計算書と貸借対照表

  • 資金収支計算書:当期末支払資金残高
  • 貸借対照表  :支払資金の額(※)

    (※)流動資産から流動負債を差し引いた差額(1年基準により振り替えた科目、引当金・棚卸資産を除く)

事業活動計算書と貸借対照表

  • 事業活動計算書:次期繰越活動増減差額
  • 貸借対照表  :次期繰越活動増減差額
  • 事業活動計算書:当期活動増減差額
  • 貸借対照表  :次期繰越活動増減差額のうち当期活動増減差額

資金収支計算書と事業活動計算書

  • 資金収支計算書:介護保険事業収入など主たる事業の「○○収入」
  • 事業活動計算書:介護保険事業収益など主たる事業の「○○収益」

貸借対照表と財産目録

  • 貸借対照表:純資産の部
  • 財産目録 :差引純資産

これらのうち、一致しないものがれば「一取引二仕訳」の登録が間違っている可能性が高いです。

会計ソフトで「エラーデータ」がないかのチェックをしましょう。

また、未収・未払・前払の確認や預金残高の一致、1年基準に応じた振替仕訳も忘れないようにしましょう。


次回の社会福祉法人関連の記事は「一取引二仕訳」について記事にしたいと思います。

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