【源泉徴収】交通費・宿泊費の立替えを請求する際の注意点

※会社=勤め先 個人=会社員 ではありません。 会社=取引先 個人=個人事業主 です。

打ち合わせ・商談・業務委託など様々な場面で、交通費や宿泊費が発生すると思います。

今回は、士業・フリーランスの個人が交通費等を立て替えた場合の注意点について記事にしたいと思います。

税理士などの士業・フリーランスに対して支払う「報酬・料金」には源泉徴収義務があります

名目が「交通費などの立替金であっても、「報酬・料金」に含まれることがあるので、注意が必要です。

目次

交通費・宿泊費の立替えの種類

個人宛ての領収書を発行してもらうケース

個人が交通費・宿泊費を支払った際に「個人宛の領収書」を発行してもらうケースとなります。

個人はその領収書(又は領収書のコピー)を会社に提出して精算してもらうことになります。

この場合は、その交通費・宿泊費については「報酬・料金」に該当し、源泉徴収の対象となってしまいます。

会社宛ての領収書を発行してもらうケース

個人が交通費・宿泊費を支払った際に「会社宛ての領収書」を発行してもらうケースとなります。

個人はその領収書(※原本)を会社に提出して精算してもらうことになります。

自分用の控えとしては、領収書のコピーを保管しておきます。

この場合は、その交通費・宿泊費については「立替金」に該当し、源泉徴収の対象にはなりません

会社が交通費・宿泊費を直接支払っている場合

会社が交通費・宿泊費を直接支払っているケースは、当然「立替え」は発生していないため、源泉徴収の問題が生じることはありません

この場合、事前予約が可能な航空券・特急券・宿泊代の精算はしなくて済みますが、次のような費用が発生した場合は、立替金として処理する可能性があります。

  • タクシー代
  • バス代(事前予約不可)
  • 電車代(事前予約不可)

もちろん、会社と個人の間での「取決め」「契約」の内容によって取り扱いは異なります。

旅費の立替えに関する所得税 基本通達の確認

今回の記事に関連するものとして、次の通達があります。

204-4  報酬又は料金の支払者が負担する旅費

 法第204条第1項第1号、第2号、第4号及び第5号に掲げる報酬又は料金の支払をする者が、これらの号に掲げる報酬又は料金の支払の基因となる役務を提供する者の当該役務を提供するために行う旅行、宿泊等の費用も負担する場合において、その費用として支出する金銭等が、当該役務を提供する者(同項第5号に規定する事業を営む個人を含む。)に対して交付されるものでなく、当該報酬又は料金の支払をする者から交通機関、ホテル、旅館等に直接支払われ、かつ、その金額がその費用として通常必要であると認められる範囲内のものであるときは、当該金銭等については、204-2及び204-3にかかわらず、源泉徴収をしなくて差し支えない

要約すると次のようになります。

  • フリーランスや士業等の個人に報酬・料金の支払をする者(会社側)が
  • その個人の交通費・宿泊費を負担する場合において、
  • その交通費・宿泊費が、個人ではなく、交通機関等に直接支払われ、
  • その金額が通常必要と認められる範囲内であるときは、源泉徴収をしなくてもよい

その交通費・宿泊費が、個人ではなく、交通機関等に直接支払われ

この部分については、実務上は個人が立て替えることが多いと思います。

個人が交通費・宿泊費を支払った際に「会社宛ての領収書」を発行してもらうことで要件を満たしたことになります


以上 【源泉徴収】交通費・宿泊費の立替えを請求する際の注意点 についてでした。

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