今更ながらですが、ふるさと納税について書いてみたいと思います。
(積立て)NISA・iDeCo・小規模企業共済と並んで、個人が「やらないと損」の一つがふるさと納税です。
ふるさと納税をやったことがないという人はまだまだ多いです。
NISA・iDeCoは「収入に余裕がないと結局始めれない」「投資=怖い」というイメージの方が多いようです。
一方でふるさと納税は、NISAなどに比べるとだいぶ敷居が低いものと言えます。
住民税を払っている人であれば、今年こそはぜひやってみましょう。お得を実感できます。
ふるさと納税とは
簡単に言えば、「2千円だけ手出しの都道府県や市町村への寄付」です。
そして、2つの特徴がある寄付です。
- 1つ目の特徴:税金の前払い
- 2つ目の特徴:寄付額に対して返礼品がある
ふるさと納税をした=地方公共団体へ寄付をした という認識でOKです。
1つ目の特徴:税金の前払い
「寄付」という行為は、所得税法上の寄付金控除という所得控除に該当し、住民税上は税額控除に該当します。
小難しい言い回しをしましたが、翌年の税金が安くなる制度と考えてください。
では、ふるさと納税をした場合、いくら税金が安くなるのかというと、
「 寄付額 - 2千円 」です。(制度上、2千円だけは必ず手出しとなります。)
10万円の寄付をした場合、翌年の税金が9万8千円安くなるというわけです。
ここまでの記事だけを読むと完全に騙された感が出ています。。。
10万円寄付して、翌年の税金が9万8千円安くなって、結果2千円損してます。
2千円は「手出し」と考えたら、ここで1つ目の特徴の「税金の前払い」に該当します。
「来年の税金が、おおよそ寄付額だけ安くなる」というイメージをもってもらえたらOKです。
流れはこんな感じです。↓
【確定申告等の流れ】
- X1年の所得に対しては、所得税・住民税が課税されます。(事業税は省略)
- 所得税は、X2年の3/15までに申告・納付します。
- 住民税は、上記の所得税の確定申告をベースにX2年に4期に分けて納付します。(普通徴収)
サラリーマンであれば、12回に分けて給与から天引きされます。(特別徴収)
【流れのあてはめ】
- ① X1年10/25にふるさと納税を10万円した場合は、X2年3/15までに所得税の確定申告をすることとなります。
- ② X2年3/15までに確定申告することにより、X1年分の所得税が2万円減税されます。
- ③ 寄付額10万円から②の2万円を差し引いた残額8万円がX2年の住所税から減税されます。
つまり、X1年10/25のふるさと納税は、翌年(X2年)の所得税・住民税の前払いに相当します。
※ワンストップ特例制度(1年間の寄付先が5自治体以内)の場合は、上記②の確定申告をする必要がないため、10万円が住民税から減税されます。
※寄付金控除上の手出しとなる2千円・復興特別所得税は省略して説明しています。
※所得税率を20%と仮定しています。
2つ目の特徴:寄付額に対して返礼品がある
ふるさと納税を世に知らしめた最大の特徴が「寄付額に対して返礼品がある」というところです。
もはや、「寄付」(=見返りを求めない)とは言ってはいけない気もしますが。笑
返礼品の目安は「寄付額の3割以下」となります。
返礼品の種類は市町村ごとに異なりますが、食材・飲料・お酒・家電・雑貨その他何でもあります。
返礼品選びでワクワクするのも醍醐味の一つです。
寄付先は、現在住んでいる市町村に限定されるわけではありません。(むしろ住んでいる市町村に寄付をしても、返礼品は受け取れませんので注意しましょう。)
また、名前に「ふるさと」と付いているので地元への寄付?と思うかもしれませんが、そういうわけではありません。
では、2つの特徴を踏まえた上で、
- 今までどおり税金を納めるのか
- ふるさと納税を活用して税金を納めるのか(返礼品がある)
確実に後者の方がお得と言えます!
いくら寄付をすればよいのか(寄付の限度額の計算)
ふるさと納税サイト(ふるさとチョイス、さとふる、楽天ふるさと納税、ふるなび ・・・その他たくさんあります。)で控除額のシミュレーションができます。
いくら寄付ができるのかを「控除限度額」と言いますが、これがとても大事です。
※限度額を超えて寄付をした場合は、超えた分の寄付額に相当する税金は安くならないのでご注意ください。
サラリーマンの場合
手っ取り早い方法が、総務省のHPにある金額を目安にすることです。
自分で計算してみたい方は、下記を参考にされてみてください。
給与所得の把握
ほとんどの会社が給与計算ソフトを使用している時代です。給与計算を担当されている方に源泉徴収票を見込みの段階でいいので出してもらいましょう。
給与明細のデータ・紙の明細がある方は、その金額を合算する方法もありますが、給与所得を算定する必要がありますので源泉徴収票を発行してもらった方が早いです。
所得控除の把握
生命保険料控除や社会保険料控除・地震保険料控除・小規模企業共済等掛金控除の適用がある方などは、控除証明書を準備しておきましょう。
扶養控除や配偶者控除・ひとり親控除なども所得から控除されますので考慮する必要があります。
前年の源泉徴収票を準備してもらえば、ご自身の該当する所得控除がイメージしやすいかと思います。
医療費控除も概算額でよいので把握しておく必要があります。
また、上記の生命保険料控除などが年末調整にて控除が可能なのに対して、医療費控除は確定申告する必要がありますのでご注意ください。「医療費のお知らせ」があれば、集計が楽です。
自営業者の場合
顧問税理士の方に計算してもらいましょう。
この一言に尽きます。早くて正確、あと楽です。
医療費控除の適用が見込まれる方や、小規模企業共済を年払いに切り替える方など、所得控除が例年に比べて増減がある場合はその旨を伝えましょう。
おすすめのサイト
私は楽天ふるさと納税を楽天カード決済で利用しています。
「お買い物マラソン」という不定期のイベントの時期に合わせてふるさと納税をしていますが、前回は上限の7,000ポイントが貰えました。
購入ショップ数(寄付した市町村の数)に応じ、ポイント倍率が2倍→3倍→4倍→→→最大10倍まで増加します。
楽天市場でお買い物マラソンが実施されているかは確認できます。
掲載されている市町村も多いです。
「ふるさと納税 ○○○(クレカ名)」で自分が持っているクレジットカードと相性の良いサイトを紹介している記事があると思うので、検索してみて見てください。
余談ですが、楽天カードがあれば、投資信託の積立購入もできるので手間が減ります。楽天銀行マネーブリッジ(楽天銀行→楽天証券へ自動入出金)を省略できます。
注意点(寄付日・返礼品に対する課税)
寄付した日
控除を受けようとする年の12月31日までに寄付(支払)をする必要があります。
銀行振込等で支払をする場合は、払い忘れに注意が必要です。
【例)2022年12月20日にふるさと納税を申し込んだ場合】
-2022年12月31日までに銀行振込が完了
→2022年分の寄付金控除として、所得税・住民税が減税されます。
-2023年1月4日に銀行振込が完了
→2023年分の寄付金控除として取り扱われます。
クレジットカードであれば即日決済できるので、払い忘れを防止することができます。
返礼品の取り扱い
ふるさと納税の返礼品は、「一時所得」として取り扱われます。
つまり、所得税・住民税の課税の対象になってしまいます。
一時所得は次の計算式で算定します。
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得
「総収入金額」=返礼品 と考えてください。
「収入を得るために支出した金額」は無視してもらって大丈夫です。
計算式にあるように「 - 特別控除額(50万円)」とあるので、実はほとんどの人に影響はありません。
ちなみに、ふるさと納税の返礼品が一時所得に該当する人は、ふるさと納税の寄付額が少なくとも年間150万円超の人です。
サラリーマンの年収でいえば、4,200万超(ほぼ皆無ですね)と予想されます。(所得控除は基礎控除・社会保険料控除のみ考慮)
150万円の寄付をした場合は、返礼品の目安が3割以内ですので、返礼品の時価相当額は「150万円×30%=50万円以下」と予想できます。
つまり、返礼品の時価が50万円以下であれば、「-特別控除額(50万円)」と相殺されますので、一時所得はゼロ円とみなされます。