利用者識別番号の注意点 や 無申告になる可能性があること について記事にしたいと思います。
相続税の電子申告について
令和元年の10月から相続税申告のe-Taxが始まっていますが、まだまだ書面での申告も多いようです。
添付書類については、PDF形式のイメージデータで送りますが、複数回に分ける必要がある(一度に大量のデータが送れない)ので、その作業がけっこう手間になります。
どのデータを添付したのかを忘れないように、また、添付漏れがないようにスキャン等したPDFデータのファイル名・フォルダ名もひと工夫して、規則性のあるものにする必要があります。
電子申告する場合の提出先について
提出先については、書面の場合と同じとなります。
被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署となります。
誰が電子申告を送信するのか
他の税目と同様に、次の2パターンとなります。
- 本人が送信(財産取得者)
- 代理送信(税理士等)
本人(財産取得者)が送信する場合の注意点
マイナンバーカード等を使って、全ての財産取得者が電子申告の送信をすることになります。
申告書に全ての財産取得者の氏名等が印字されていても、相続人の代表者である誰か一人が送信すればよいというわけではありませんのでご注意ください。
税理士等が代理送信する場合
相続人のうち1名を代表者として指定し、まとめて送信することができます。
本人送信の場合と比べて、全体の作業量は減ります。
なお、利用者識別番号については注意点があるので、次の目次を参考にされてください。
相続人の利用者識別番号について
利用者識別番号の取得については、こちらを参考にしてください。
※相続税の電子申告には、被相続人の利用者識別番号は不要となります。
利用者識別番号は相続人全員分を取るべき
相続人(財産取得者)が複数人いて、相続税の電子申告をする場合は、相続人全員の利用者識別番号が必要となります。
税理士等が代理送信する場合で、代表者1名を選んでまとめて送信する場合であっても、相続人全員の利用者識別番号が必要となります。
代理送信の場合は、各相続人が送信をする必要はありませんが、利用者識別番号は全員分が必要なので注意が必要です。
代理送信するときに、利用者識別番号を付さない相続人がいる場合
利用者識別番号を付していない相続人については、「無申告」扱いとなってしまいます。
作成した申告書を電子のデータで見ると、相続人の氏名等の欄に「利用者識別番号を付していない相続人の情報」も当然載ります。
しかし、利用者識別番号を付していないのであれば無申告扱いとなってしまうので注意が必要です。
なお、事情があって(最近はあまり聞きませんが、書面の申告+印鑑しか信用しない納税者とか)利用者識別番号を取得できない方がいる場合は、その方は書面での提出となります。
既に利用者識別番号を取得している場合
所得税・消費税・贈与税の確定申告のために、過去に利用者識別番号を取得したことがある場合は、改めて利用者識別番号を取得する必要はありません。
なお、過去に利用者識別番号を取得しているが、識別番号を覚えていない場合は、新たに「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を提出して新しい利用者識別番号を取得できます。
2回以上利用者識別番号を取得した場合は、最後に取得した利用者識別番号が有効となり、古い利用者識別番号に係るメッセージボックスが確認できなくなりますのでご注意ください。
「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」は、財産取得者の住所地を管轄する税務署に提出してください。
誤って「被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署」に提出しないようにしてください。
受信通知で送信結果を確認
各ソフトによって「相続申告グループ」等の設定が異なるかと思いますが、適切に電子申告ができていれば、
メッセージボックスの「受信通知」で送信結果が確認できます。
税理士等による代理送信により「相続人代表1名での送信」であっても、代表以外の相続人のメッセージボックスにもメッセージが格納されます。
相続人全員分の受信通知が届いているか確認できたら、申告業務は完了となります。