前回の記事の最後にクレジットカードの利用があった際の入金時の「信販手数料」について書きました。
PayPayなどの電子マネーも「キャッシュレス決済」ではありますが、入金時の処理がクレジットカードとは異なります。
今回は、「電子マネー」の決済手数料について記事にしたいと思います。
電子マネーに係る決済手数料の消費税
まずは、主な電子マネーの種類を確認したいと思います。
- 交通系電子マネー (Suica、PASMOなど)
- 流通系電子マネー (nanaco、WAONなど)
- クレジットカード系電子マネー (iD、QUICPayなど)
- QRコード系電子マネー(PayPay、d払い、楽天Edyなど)
電子マネーとは技術は異なりますが、【クレカのタッチ決済】非常に便利です。
続いて、電子マネーに係る決済手数料の消費税について確認したいと思います。
電子マネーに係る決済手数料については、消費税は「課税仕入れ」として取り扱います。
課税仕入れとなる理由として、店舗と決済事業者の間を決済代行事業者が仲介するためです。
この「仲介」を、「決済代行に係る役務提供の対価」=「課税」として取り扱います。
クレジットカードの信販手数料は「金銭債権の譲受け」として非課税でしたが、電子マネーの場合は課税のため、注意が必要です。
なお、契約によっては、手数料の取扱いが異なる可能性もあるので、入金通知書や決済サービスの管理画面等で消費税の記載があるかを確認した方がよいです。
クレジットカード系電子マネーの場合の注意点
先ほど、電子マネーの決済手数料については、消費税は課税仕入れになると説明しました。
しかし、一定の電子マネーについては、消費税は非課税仕入れとなるので注意が必要です。
PayPayやSuicaなどは、消費者が事前に現金からチャージして利用するものです。
これに対して、電子マネーであっても消費者が「後払い」するものは非課税となりますので注意が必要です。
クレジットカード系の電子マネーは非課税と覚えておきましょう。
扱う(預かる)資料もペーパーだけではなくデータが随分と増えました。
入金額を売上計上するのは避けるべき
正しい仕訳
売上時
借方 | 消費税 | 金額 | 貸方 | 消費税 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
売掛金 | – | 100,000 | 売上高 | 課税売上 | 100,000 | 〇月〇日売上 |
入金時
借方 | 消費税 | 金額 | 貸方 | 消費税 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
普通預金 | – | 97,000 | 売掛金 | – | 100,000 | 入金 |
手数料 | 課税仕入 | 3,000 | 決済手数料 |
売上は総額で収益計上し、入金時の売掛金との差額(=決済手数料)を費用計上しています。
誤った仕訳
売上時
仕訳なし。
入金時
借方 | 消費税 | 金額 | 貸方 | 消費税 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
普通預金 | – | 97,000 | 売上高 | 課税売上 | 97,000 | 入金 |
売上と決済手数料を相殺した入金額での収益計上をしています。
決済手数料が課税仕入れであれば、納める消費税と所得(利益)に影響がないとして、入金時に売上を計上するという方法もあるかもしれません。
※消費税の計算方法が簡易課税ではないこと、期末に未収分は売掛金計上をする などが前提となりますが。
しかし、この方法では、「基準期間における課税売上高」の金額が正しく計算されていません。
また、総額で売上高を計上した場合と比べて原価率も高くなってしまいます。
以上 【キャッシュレス決済】電子マネーの決済手数料と消費税の関係 についてでした。