工事の請負契約書の支払方法を変更した場合について解説したいと思います。
よくある「契約金額」「契約期間」の変更についても同じ扱いとなります。
工事請負契約書は第2号文書に該当する
工事請負契約書は、印紙税法における第2号文書(課税文書)に該当します。
そのため、工事請負契約書には印紙を貼る必要があります。
- 工事請負契約書
- 工事注文請書
- 物品加工注文請書
- 広告契約書
- 映画俳優専属契約書
- 請負金額変更契約書など
- (注) 請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。
印紙の金額は次のとおりです。
契約書や請書に記載されている金額で判断します。
※かっこ書きは、軽減後の金額です。
- 1万円未満(※) 非課税
※ 第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。 - 100万円以下 200円
- 100万円を超え200万円以下 400円(軽減後200円)
- 200万円を超え300万円以下 1千円(軽減後500円)
- 300万円を超え500万円以下 2千円(軽減後1千円)
- 500万円を超え1千万円以下 1万円(軽減後5千円)
- 1千万円を超え5千万円以下 2万円(軽減後1万円)
- 5千万円を超え1億円以下 6万円(軽減後3万円)
- 1億円を超え5億円以下 10万円(軽減後6万円)
- 5億円を超え10億円以下 20万円(軽減後16万円)
- 10億円を超え50億円以下 40万円(軽減後32万円)
- 50億円を超えるもの 60万円(軽減後48万円)
- 契約金額の記載のないもの 200円
- (注) 平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率が軽減されています
契約書の内容を変更した場合は、再度印紙を貼る必要がある場合も
契約書の内容を変更する場合は、その内容が「重要な事項の変更」である場合のみ再度印紙を貼る必要があります。
重要な事項 とは
「重要な事項」は、印紙税法基本通達別表第2に定められています。
印紙税法基本通達別表第2 重要な事項の一覧表(4 第1号の4文書 第2号文書 抜粋)
(1) 運送又は請負の内容(方法を含む。)
(2) 運送又は請負の期日又は期限
(3) 契約金額
(4) 取扱数量
(5) 単価
(6) 契約金額の支払方法又は支払期日
(7) 割戻金等の計算方法又は支払方法
(8) 契約期間
(9) 契約に付される停止条件又は解除条件
(10) 債務不履行の場合の損害賠償の方法
上記の重要な事項の一覧以外の項目であれば、契約内容を変更したとしても印紙を再度貼る必要はありません。
タイトルにある「支払方法」を変更した場合は、【(6) 契約金額の支払方法又は支払期日】の変更に該当するため、印紙が必要になります。
なお、「覚書」などの名称で、支払方法を変更したとしても「重要な事項の変更」 に変わりはないため、課税文書として取り扱います。
印紙を貼らない方法はあるのか
工事請負契約書における支払方法の変更をした場合は、「書面」の契約書である以上は、印紙を貼らなければなりません。
とはいえ、印紙の負担も契約金額によっては高額のため、できれば負担したくないものです。
電子契約で変更契約を締結する場合は、印紙は不要となります。
また、電子契約したデータをプリントアウトしただけのものについても、コピー文書と同様に課税されません。
電子契約システムを様々なものがあります。
私が利用したことがあるサービスは「クラウドサイン」です。
契約者双方の「メールアドレス」と「契約内容のPDFデータ」を準備するだけで簡単に電子契約が可能です。
以上、【印紙必要?】工事請負契約書における支払方法の変更【重要な事項】 についてでした。