固定資産税はその年の1/1時点で不動産を所有している方に課される税金です。
今回は、不動産取得税に関する基本的な知識を記事にしたいと思います。
※福岡県の場合です。
不動産取得税の納税義務者
不動産取得税の納税義務
不動産取得税の納税義務は、次のような方にあります。
- 家屋を新築、増築、改築、売買、交換、贈与などにより取得した人
- 土地を売買、交換、贈与などにより取得した人
土地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいう。
家屋 住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物をいう。
建築 家屋を新築し、増築し、又は改築することをいう。
増築 家屋の床面積又は体積を増加することをいう。
改築 家屋の壁、柱、床、はり、屋根、天井、基礎、昇降の設備その他家屋と一体となって効用を果たす設備で政令で定めるものについて行われた取替え又は取付けで、その取替え又は取付けのための支出が資本的支出と認められるものをいう。
不動産取得税の税率
取得の時期が平成20年4月1日から令和6年3月31日までの間は、不動産取得税の税率は次のようになっています。
土地 | 家屋(住宅) | 家屋(住宅以外) |
---|---|---|
3% | 3% | 4% |
地方税法73条の15
「不動産取得税の標準税率は、100分の4とする。」と定められています。
附則第11条の2
そして、附則においては「平成18年4月1日から令和6年3月31日までの間に住宅又は土地の取得が行われた場合における不動産取得税の標準税率は、第73条の15の規定にかかわらず、100分の3とする。」と定められているため、
土地と家屋(住宅)については、3%となります。
納付額の計算
不動産取得税の納付額が次の算式によって計算します。
不動産の価格(※1) × 税率(3%または4%) = 納付額
※1価格とは、適正な時価のことをいいます。
基本的には、取得時の市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格となり、売買価額や建築費用の金額ではありません。
非課税と免税点
不動産取得税の非課税
次のような形式的な所有権の移転等に対しては、不動産取得税は非課税とされています。
- 相続・遺贈での不動産の取得
- 法人の合併・分割での不動産の取得
- 法人設立時における現物出資における不動産の取得
- 共有物の分割における不動産の取得 など
相続人に対する「相続」「遺贈」での取得の場合は、不動産取得税は課税されません。
しかし、法定相続人以外の方に対する遺贈や死因贈与の場合は、不動産取得税は課税されます。
不動産取得税の免税点
不動産の取得時の価格が、次の金額未満の場合は免税となります。
- 土地の取得 10万円
- 家屋の取得のうち建築(新築・増築・改築) 23万円
- 家屋の取得のうち売買・交換・贈与等 12万円
不動産取得税の軽減について
不動産取得税には軽減措置が設けられています。
土地と家屋の両方に軽減措置がありますが、「家屋の床面積」が要件を満たしていない場合には適用はありません。
新築住宅・新築未使用住宅(建売住宅、新築マンション)の軽減措置
- マンション(賃貸) 40㎡以上 240㎡以下
- マンション(分譲) 50㎡以上 240㎡以下
- 戸建て 50㎡以上 240㎡以下
床面積には、車庫・物置小屋などを含みます。
軽減額は、不動産の価格から1,200万円(※1)を控除します。
不動産の価格が1,200万円未満の場合は、その不動産の価格を限度とします。
※1認定長期優良住宅の場合は、1,300万円となります。
(不動産の価格 - 軽減額) × 3% = 納付額
中古住宅の軽減措置
- 取得した本人の居住用であること
- 床面積が 50㎡以上 240㎡以下 であること
- 次のいずれかに該当すること
- 昭和57年(1982年)1月1日以降に新築されたものであること
- 昭和56年(1981年)12月31日以前の新築分で、新耐震基準に適合していること(※1)
- 昭和56年(1981年)12月31日以前の新築分で、耐震改修を行い新耐震基準に適合していること(※2)
※1 取得の日前2年以内に調査を受けていること
※2 取得の日から6ヵ月以内に改修・証明を受けていること
床面積には、車庫・物置小屋などを含みます
軽減額は、不動産の価格から420万円~1,200万円を控除します。
新築年月日に応じて控除額が異なります。
新築年月日 | 控除額 |
---|---|
昭和56年12月31日以前 | 県税事務所にお尋ねください。 |
昭和57年1月1日~昭和60年6月30日 | 420万円 |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円 |
平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円 |
平成9年4月1日以降 | 1,200万円 |
住宅用土地の軽減措置
中古住宅用土地の軽減
- 土地を取得してから 1 年以内にその土地の上にある中古住宅を取得した。
(土地→家屋) - 中古住宅を取得してから 1 年以内にその中古住宅の土地を取得した。
(家屋→土地) - 中古住宅とその中古住宅の土地を同時に取得した。
※ |中古住宅の軽減措置 で説明した「昭和56年(1981年)12月31日以前の新築分で、耐震改修を行い新耐震基準に適合していること」に該当する場合は、平成30年4月1日以降の土地の取得に該当します。
軽減額は、次の①と②のいずれか大きい額を税額から控除します。
①45,000円
②土地の 1 ㎡当たりの価額 (※1)× (住宅の床面積(㎡)×2)(※2) ×3%
※1 令和6年3月31日までに土地を取得した場合は2分の1の軽減をした後の価格
※2 「住宅の床面積×2」は200㎡を限度とします。
新築住宅の土地
「家屋の床面積の要件」を満たした上で、次の①と②のいずれかの要件を満たす必要があります。
- マンション(賃貸) 40㎡以上 240㎡以下
- マンション(分譲) 50㎡以上 240㎡以下
- 戸建て 50㎡以上 240㎡以下
①土地を取得した日から2年以内(※1)に、その土地の上に家屋を新築したとき(土地→家屋)
②土地を取得した人が、取得した日前1年以内に、その土地の上に家屋を新築していたとき(家屋→土地)
※1 令和6年3月31日までに取得した場合は3年以内
軽減額は、次の①と②のいずれか大きい額を税額から控除します。
①45,000円
②土地の 1 ㎡当たりの価額 (※1)× (住宅の床面積(㎡)×2)(※2) ×3%
※1 令和6年3月31日までに土地を取得した場合は2分の1の軽減をした後の価格
※2 「住宅の床面積×2」は200㎡を限度とします。
新築未使用住宅の土地(建売住宅、新築マンション)
「家屋の床面積の要件」を満たした上で、次の①と②のいずれかの要件を満たす必要があります。
- マンション(賃貸) 40㎡以上 240㎡以下
- マンション(分譲) 50㎡以上 240㎡以下
- 戸建て 50㎡以上 240㎡以下
①自己の居住用
・土地を取得した人が、取得した日の前1年の間に、その上にある新築未使用の家屋を取得したとき
(家屋→土地)
・土地を取得した人が、取得した日の後1年の間に、その上にある新築未使用の家屋を取得したとき
(土地→家屋)
・土地を取得した人が、同時にその上にある新築未使用の家屋を取得したとき
②自己の居住用以外
新築未使用の家屋とその土地を、新築後1年以内に取得したとき(取得は同時でなくても構いません)
軽減額は、次の①と②のいずれか大きい額を税額から控除します。
①45,000円
②土地の 1 ㎡当たりの価額 (※1)× (住宅の床面積(㎡)×2)(※2) ×3%
※1 令和6年3月31日までに土地を取得した場合は2分の1の軽減をした後の価格
※2 「住宅の床面積×2」は200㎡を限度とします。
還付か納付か
不動産取得税については、軽減措置を申請する前にすでに納付している場合は、軽減申請後に減額された税額相当額が還付されます。
一方で、不動産取得税をまだ納付していない場合は、軽減申請後は減額後の税額を納付することになります。
そのため、納付の有無で有利不利になることはありません。
軽減措置が申請できる期間は、不動産を取得した日から5年以内となっていますので、申請漏れだけは注意しましょう。
以上、【軽減措置あり】住宅を取得した際の不動産取得税について でした。