令和4年4月1日以後に開始する事業年度(令和5年の3月決算)から、所得拡大促進税制(中小企業向け賃上げ促進税制)の内容が変わります。(令和4年度税制改正)
過去に何度も改正があるので、「またか」といった感想を持つ方も多いのではないでしょうか。
※青色申告の中小企業者についての記事となります。
所得拡大促進税制の基本的なルールの確認
所得拡大促進税制(賃上げ促進税制)の基本ルールを確認したいと思います。
簡単にいえば、従業員への給与の増加額が前年比で1.5%以上であれば、増加額の15%を法人税額から控除できるという規定になります。
- 青色申告を行う中小企業者であること
- 国内雇用者(使用人)への雇用者給与等支給額が前年度の雇用者給与等支給額の1.5%以上であること
- 控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額から控除できる
- 税額控除額は法人税額の20%を上限とする
雇用者給与等支給額が前年度の雇用者給与等支給額の1.5%以上であること
雇用者給与等支給額 - 前期の雇用者給与等支給額
≧ 1.5%
前期の雇用者給与等支給額
控除対象雇用者給与等支給「増加額」の15%を法人税額から控除
① 控除対象雇用者給与等支給増加額
=雇用者給与等支給額 - 前期の雇用者給与等支給額
② 税額控除
=①×15%
なお、②の税額控除額は、当期の法人税額の20%を限度とします。
最大で「給与増加額の40%」が控除の対象となる
控除率は全部で4パターンある
一つ目の目次で、従業員への給与の増加額が前年比で1.5%以上であれば、増加額の15%を法人税額から控除できると説明しましたが、最大で40%までの上乗せ措置が設けられました。
給与増加額×税額控除率(15% or 25% or 30% or 40%)
① 15%(上乗せがない場合)
② 25%(15%+10% 上乗せ要件は1つ)
③ 30%(15%+15% 上乗せは要件1つ)
④ 40%(15%+15%+10% 上乗せは要件2つ)
②税額控除率10%の上乗せのための要件
「教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加」している場合は、10%の上乗せができます。
法人がその国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用(教育費、訓練費、研修費、講習費など)で、自社開催型・外部参加型を問いません。
※「国内雇用者の職務に必要なもの」に限定されるので、役員だけが受ける研修や職務と関連性がないものはダメです。
「オンラインセミナー」でもOKです。
③税額控除率15%の上乗せのための要件
15%の上乗せ要件は、給与の増加額が前年比で2.5%以上となります。
通常の所得拡大促進税制の判定式から対象となる金額が変わるわけではないので、簡単に判定できます。
雇用者給与等支給額 - 前期の雇用者給与等支給額
≧ 2.5%
前期の雇用者給与等支給額
④税額控除率25%(15%+10%)の上乗せのための要件
「給与の増加額が前年比で2.5%以上」に加えて、「教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加」している場合は、25%の上乗せができます。
以上、【令和4年4月1日以後開始】所得拡大促進税制の改正内容について でした。